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  1. 長野県議会 2022-10-07
    令和 4年 9月定例会農政林務委員会-10月07日-01号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 9月定例会農政林務委員会-10月07日-01号令和 4年 9月定例会農政林務委員会 農政林務委員会会議録(その3) ●招集年月日時刻及び場所   令和4年10月7日(金)午前10時30分、議事堂第4委員会室に招集した。 ●出席した委員の氏名    委  員  長        小 山 仁 志    副 委 員 長        宮 下 克 彦    委     員        佐々木 祥 二       同           鈴 木   清       同           依 田 明 善       同           小 林 あ や       同           池 田   清       同           中 川 博 司       同           毛 利 栄 子 ●欠席した委員の氏名   な し ●説明のため出席した者の氏名 (林 務 部)
       林務部長           吉 沢   正    林務部次長          坪 井 俊 文    森林政策課長         柳 原   健    信州の木活用課長       千 代   登    県産材利用推進室長      栩 秋 隆 哉    森林づくり推進課長      中 島   治    鳥獣対策室長         小 澤 岳 弘 ●付託事件   10月5日に同じ ●会議に付した事件   付託事件のうち、1、7、9~11、13及び林務部関係所管事務一般開議時刻 午前10時27分 ●小山委員長 開会を宣した。  ▲日程宣告    林務部関係の審査  ▲林務部関係付託事件の報告    予算案1件、陳情5件  ▲議題宣告林務部関係)    付託事件及び所管事務一般を一括して議題とし、議題に関連して理事者の説明を求めた。 ◎吉沢正 林務部長 別添、部長説明要旨に基づいて説明した。 ○小山仁志 委員長 第1号「令和4年度長野県一般会計補正予算(第3号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中、歳出 第7款 農林水産業費中の林務部関係、第12款 災害復旧費、第2条「第2表 繰越明許費」中の一部について、理事者の説明を求めた。 ◎中島治 森林づくり推進課長 議案、予算説明書、別添資料1及び資料2により説明した。 ○小山仁志 委員長 理事者から発言を求められていたので、これを許可した。 ◎柳原健 森林政策課長 別添資料3「森林づくり県民税に関する基本方針(案)について」、資料4「新しい長野県森林づくり指針について」及び資料5「林務部コンプライアンス行動計画について」により説明した。 ◎千代登 信州の木活用課長 別添資料6「林業就業者の育成と確保について」により説明した。 ◎小澤岳弘 鳥獣対策室長 別添資料7「ツキノワグマの出没について」により説明した。 ○小山仁志 委員長 委員の質疑等発言を許可した。なお、議論を深めるため、委員の発言に対し、ほかの委員から意見等がある場合についても、あわせて発言願った。 ◆鈴木清 委員 簡潔にお伺いしたいと思います。まず、税の運用の問題で、県民あるいは関係の皆さんに十分理解していただきたい基本的な部分があります。里山という言葉を使っていますが、深山幽谷の森林と、いわゆる身近な里山というイメージから醸し出す里山の定義があります。県はこの言葉について、一言で言えばどのような範囲、距離あるいは林相を想定していらっしゃるのでしょうか。 ◎千代登 信州の木活用課長 里山の定義でございます。委員がおっしゃるように、森林においては、いわゆる里山に対して奥山と分けて言われることもあります。定義に関して言いますと、しっかり線引きすることはないのですが、長野県では、県のふるさとの森林づくり条例というものを15年ほど前に定めております。この中で、里山という言葉を使っておりまして、過去から現在に至るまで、人が何らかの手を加え、そして親しまれるような、身近な森林という定義をしております。よって、例えば標高が非常に高い奥山であっても、人がそこに足しげく通って、地域の人たちの憩いの場になっているようなものであれば、これも里山という位置づけをしておりますので、標高や林齢、あるいは樹種の構成といった細かな取決めはされておりません。 ◆鈴木清 委員 今の説明で、里山という場について、過去の歴史的な経緯、それから人々の生活の中で、自分の足で歩いて何らかの生活の糧を得たり、あるいは狩猟や炭焼きをしたり、林野を伐採することで、生活のなりわいに供する場所であったということが、今の説明でイメージできたかと思います。個人的には、拡大解釈をしても、太陽が上がると同時に、自分の足で歩いて、その日のうちにある一定の地点で就労して帰ってこられる範囲が里山というイメージかなと受け止めています。  ところで、前にも委員会でお伺いしたことですけれども、農政部を中心に進めてもらっている地籍調査が遅々として進んでおりません。私の長男も山には無関心ですので、私の代で終わってしまうのかもしれません。私どもの親の年代から私どもが小学校の頃までは、学校の暖房というとだるまストーブでしたし、主たる燃料は石炭でした。石炭はすぐ火がつくわけにいきませんから、里山がある子供たちは、自分の山へ行って松葉を集めてきて、新聞紙に火をつけ、松葉に点火するといったストーブ当番がありました。そこで弁当を温めたり、大きなやかんでお湯を沸かしたりというイメージが、おのずと浮かんでくるわけです。また、今はキノコの時期なのですが、手軽に山へ行ってキノコでも取ってこようという文化も、現在はなくなってしまいました。非常に寂しいことだと思います。質問に戻ります。地主という言葉を使うと、大規模地主というイメージになってしまうのですが、どんな小さな山林をお持ちの方に対しても、これはあなたの山だから、きちんと手入れをしてくださいという啓蒙的なメッセージを発信するには、地籍調査を一人一人の山林地主に行う必要があると思います。この調査を林務部として一歩、二歩と進める考えをお持ちか、見解をお伺いしたいと思います。 ◎柳原健 森林政策課長 林地の地籍調査に関するお問合せをいただきました。現状は、長野県の林地に関する地籍調査は30.3%であり、全国が46%ございますので、全国的に比べても、非常に低い水準でございます。この地籍調査が進まないという課題に加え、先ほど来からお話にもあります、誰が所有者か分からないという課題があります。長期間にわたり相続の手続がされなかったために、市町村で管理するべきところにおいても、その所有者が分からなくなっているのです。地籍調査を既に100%終えている市町村もございますので、これから森林経営管理制度を市町村が担うにあたって、調査が進んでいるところは即取組が進むものと思います。この度新しく始まった制度によって、市町村の手入れが行き届かない森林の整備も始まりますが、その際に、森林所有者の意向を確認する手続がございます。所有者不明あるいは所有者が見つからない共有地については、一定の手続を取れば、市町村がその権利に基づいて手入れすることができるという制度も整備されております。地籍が進まない、所有者が分からないという全国的な課題に対して、国も頭を悩ませ、つくった制度です。地籍調査が進むことは、もちろんいいことだと思いますが、なかなか権利関係で難しい部分もございます。新しい制度も含めて、所有者の確認と森林整備が進むように、国の制度も含めて取り組んでいきたいと思います。 ◆鈴木清 委員 これは過去、本会議にも提案し、取り上げたこともあるのですが、大体里山云々というイメージの周辺には、行政のため池が多くあります。今、土地改良区の構成を見ても分かるのですが、専業農家が少なくなり、地域的にも米作りがなくなって、全部畑作に転換するなど、水のため池を使う量がなくなっております。流域治水という言葉はこの2年の間に出てきましたが、かつての昭和50年代頃までは、里山周辺の地価が安いものですから、その周辺に旭ヶ丘や緑ヶ丘といった名前の団地が大分造成されました。ところが、ため池の管理がきちんとされていないために、雨が降ったら、細い農業用水の水路を通って、一気に団地周辺に下ってきます。団地というのは近代的な区画整理で造成されていますから、排水路は三面U字溝で一直線のものになります。ふだんは乾燥していても、一気に雨が降ると溢水してしまうのです。そのときに、倒木が押し流されてきますので、かつての雲仙普賢岳の状況を思い出すわけではありませんが、非常に心配をする方々がいらっしゃいます。また、2月、3月頃の大雪で、根の弱い杉が一気に倒れてしまうこともあります。その倒木を片づけるということが、山の所有者の責務だと思うのです。なので、地籍調査優先順位を決めて、住宅周辺から一斉に行うのではなくて、生活上危険な、あるいは将来的な災害が予測されるような地域を中心に、市町村と連携を取りつつ進めることによって、もう一度山に対する思い入れというものを、地権者あるいは山林所有者に思い起こしていただけたらと思っております。これは私からの要望です。  次の確認事項に入りたいと思いますが、過日頂いた県有林の資料を見ますと、県行造林という制度がございます。長野県の場合は、いわゆる木曽の御料林や先人の帝室御料林の官有林、それから国有林等々がありますが、それらに限らず、県有林が今どういう状況になっておられるのか、お聞きします。 ◎中島治 森林づくり推進課長 県有林に関する御質問をいただいたところです。まず、県有林は、県が完全に土地まで持っているものが約8,700ヘクタールございます。また、それ以外に先ほど委員がおっしゃっていました県行造林というものが8,400ヘクタールございます。これは地権者と契約して、長野県が維持管理森林整備を行っているものです。これらを合わせて県営林としまして、長野県では1万7,100ヘクタールほど管理しております。 ◆鈴木清 委員 その中で見ますと、岩石等という部分が入っているケースでも、単純に言えば人工林の比率が圧倒的に多いですよね。加えて樹種別の面積を見ますと、カラマツが一番多いとのことです。しかし、針葉樹と広葉樹の混合樹林こそが、信濃の国をほうふつする林相であると思うのです。本会議で私も確認したことがありましたが、千曲川水系の上流も混合樹林がなくなってきたために、保水層もなくなってきたという状況がございます。だから、一気に支川に水が流れ、本川へ流れてしまうのです。なりわいとして成り立つかどうかは別として、もう一度かつての歴史を遡り、ブナやナラといった混合林への樹種転換を積極的に進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎中島治 森林づくり推進課長 今後、カラマツといった針葉樹主体人工林を、混合林化するのはどうかという御質問です。実際に県有林県行造林も含めまして、奥地に位置する森林が多くございます。今後主伐を迎えて生産することを考える中でも、経営が成り立たない部分については、今、委員がおっしゃったように、強度の間伐をした後、あとは天然に広葉樹が入ってくるように、森林の構成をつくるという方針で運営しております。 ◆鈴木清 委員 経営効率作業効率だけで、山々や自然を考えるわけにはいかないと思うのです。自然の雨水が染みわたり、清冽な水になり、我々の喉を潤し日々の生活の循環剤となる役割もありますので、方針を混合林主体にきちんとシフトして、進めてもらいたいと思います。ところで、ブナやナラといった具体的な樹木の話を申し上げましたが、職業としてのマタギや木地師炭焼き等なりわいとしている方々はいらっしゃるのでしょうか。 ◎千代登 信州の木活用課長 担い手を所管する課ということで申し上げます。いわゆる狩猟を専ら職業にしている、マタギという言われ方をする職業の方や、ろくろで器を作る木地師、そして炭焼きという、何十年か前にはいらした職業の皆さんが、現在も御活躍されているかという御質問ですが、我々も統計としては把握していないところでございます。 ◆鈴木清 委員 なぜそんなことを申し上げたかというと、職業として自立し、なりわいとして成り立つかは別としても、あの山はどちらを向いている、あの川の水はどこから湧き出ているというように、里山を含めその地域に一番詳しいのは今申し上げた職業の方々なのです。ですから、昭和30年代の後半までは、マタギも長野県にもおりました。今は、秋田県の一部にマタギをなりわいとする方々が僅かに残っているだけです。それから、木曽の塗り物も有名ですが、その塗り物の前を作るのは、ろくろを回している木地師になります。ちなみに、小椋佳さんという方もおられますが、小椋という姓は全部木地師です。これは県境を越えて、全国どこの森林に入ってもよいというお墨つきをもらった方々の集団になります。最後に、炭焼きは、自分のうちを造るときに、臭いや湿気をなくすための炭を作る職業になります。改めて申し上げますが、皆さんは県庁の職員ですから、直轄活用も含め、500円という税の徴収を、どのように整合性を持って県民に理解してもらえるか、そのためにはどうやって議会を説得するかということに力を注いでいますが、そうではなくて、もう一度信州の山々から取れたものをどうやって活用するかという点に、ぜひ力を入れてもらいたいのです。今でも副業で炭焼きをおやりになっている方々はいらっしゃいます。ある企業の役員をやった方で、自分の山に自分で炭焼き用の窯をつくった方もいます。煙の匂いや色で炭の状態が分かるとか、リンゴよりもナラの木のほうがいいといった話を聞いていると、ほのぼのしたものを感じます。ですから、燃費効率のいいガスという話だけではなくて、生活の中に炭焼きの炭をもう一度取り入れるにはどうすればよいかということも、私はお考えいただきたいと思っています。  県の御案内で、この委員会の皆さんと豊野町の家政学校に行き、木造の校舎を見てまいりましたが、ここでも何かほのぼのとしたものを感じました。やはり子供たちや様々な条件を背負った人たちが学ぶにあたって、木造の校舎はいいものだと肌で実感し、再認識しました。そこで、今、県有林がどういう状況か、もう一度聞きます。県行造林も含めて、これらはただ生えているだけです。その木を間伐してどこか市場へ出す、あるいは何かに利用する集団や目的があって、県有林は現存しているのです。その解釈と状況について、お伺いいたします。 ◎中島治 森林づくり推進課長 県有林の材をどう活用しているかという御質問でございます。過去に県庁本舎を建てる際は、県有林の木を切ってその財源の一部に充てたということは、委員の皆さんは御存じかと思いますけれども、ここ数年は、大規模なものではありませんが、そろそろ主伐をするという動きをしております。それ以前にも、間伐するときに出てくる材を、業者に買ってもらうといった事業を行っております。材の売り方については業者に委ねておりますので、具体的にどう使われるかというところまでは把握できておりませんけれども、東信地方カラマツなどは、ほぼ県外の合板工場へ出ることが多いのではないかと推測しております。 ◆鈴木清 委員 なぜこんなことをお尋ねしたかといいますと、県有林の面積が広いか狭いかについては判断の余地がありますが、以前、教育委員会にいるときに、長野県内の校舎や什器備品も含め、県産材を使った木造の校舎や机、椅子を再認識し、利用していただけないかと、当時の教育長以下に再三申し上げたことがありました。それが実現していないのは、設計上の都合か予算の都合か、それとも責任者は都会の建物がいいと思ってあまり協議しなかったからなのかは分かりません。しかし、まず隗より始めるという言葉があるように、林務部として知事ともよく話をしてほしいと思います。今申し上げたお話もそうですが、木造のものを取り入れれば、シックハウス症候群といった近代的な子供たちの病気もなくなりますし、健やかに育ちます。なりわいとして県有林をやっているわけではないので、利益を出さなくてもいいのです。使えるものをどんどん使って、県の公共施設、市町村とも連携を取っていただきたいと思います。他県の方も、長野県に視察に来た際に、長野県の建物はいい材木を使っていると申し上げていました。このお言葉のとおり、校舎も応接間も全部地元の材を使っているように、イメージを一新してもらいたいのです。ですから、そのことを、特に強く申し上げておきたいと思います。その気がなければしょうがないのですが、もし私が今投げた問いに答える気があれば、決意を込めて一言、林務部長からいただけますか。 ◎吉沢正 林務部長 県営林を含めた県の材を、県の施設に活用するのはどうかというお話でございます。これからはやはり、木材も主伐を進めていく時代になりますけれども、切った材を県内でどう活用するかというのは、非常に大事な課題だと考えております。委員のほうで御指摘のありました、県の施設においても、県営林を含めた県の材を使えるよう、私どもも意を用いて考えて取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ◆鈴木清 委員 では、最後に一言だけ申し上げます。今、そういうお気持ちをお持ちだということを伺いましたが、これはよく知事にも話しておいてください。長野県の子供たちが健やかに、伸びやかに育つには、まず県産材に囲まれた施設で学び、生きるということが基本だということを、根底に据えていただきたいです。森林づくり県民税の関係にもなりますが、神社仏閣について、村のお宮の境内を片づけたくても、氏子の皆さんや篤志家の減少に加え、伐採や植林するための予算がないため困っているという話も聞いております。神社の境内にある林を、その地域の歴史として顧みた場合、それらもまた一つの習俗、文化的な行為であると私は思います。御祭神は知らなくても氏子の役員をやっている方もいらっしゃるし、新興宗教に熱心な方も氏子総代をやって、二礼二拍手をやっています。法律上は宗教法人の認可を取っていますが、これについても運用できないか、検討の一つとして、頭に入れておいてください。私の質問は終わります。 ○小山仁志 委員長 午後1時30分まで休憩を宣した。 ●休憩時刻 午前11時37分 ●再開時刻 午後1時27分 ○小山仁志 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆佐々木祥二 委員 それでは、私から、森林づくり県民税限り質問をさせていただきたいと思います。知事の提出議案の中や説明要旨の14ページに、詳しく書いてあります。趣旨として1番から4番の柱で、それぞれ1ページを使って説明をしていただいておりまして、本 当にすばらしいことだと思います。私は、森林づくり県民税につきましては賛成する一人でございます。この4つの項目の全部が完結するには幾らほどかかるのでしょうか。 ◎柳原健 森林政策課長 森林づくり県民税の新しい4本の柱のお話でございます。今日御説明させていただいた資料3のところに、今回の4本の柱と事業費の関係を示しております。全体で34.4億円でございますが、普及啓発を除けば、そのほとんどを4本の柱に係るものでございまして、特に1本目の柱である再造林の加速化の部分については、新しい制度の創設とともに多くの事業費を寄せて、目標に向かって実施していくという整理をしております。 ◆佐々木祥二 委員 では、この森林づくり県民税を頂く4年間か5年間で、この四つの柱に必要な34億円が全部賄えるということですか。 ◎柳原健 森林政策課長 全体事業費のお話でございますけれども、例えばⅠ-1における再造林の加速化については、国庫補助事業をベースとしてかさ上げを実施し、10分の10まで引き上げるというものでございます。先ほど来、私が御説明申し上げたのは、森林づくり県民税の税額に関して使う部分だけでございますが、当然再造林の加速化については10分の7相当の国庫補助金と、それに伴う義務補助としての一般財源も必要となってまいります。 ◆佐々木祥二 委員 この4本柱全てが34億円でできるのか、私も疑問に思っています。森林環境譲与税や、治山や林道等、市町村に関連して林野庁から頂ける事業費、そして、当然林務部で持っている事業費等を使うわけですよね。 ◎柳原健 森林政策課長 再造林の加速化の部分の事業費については、国庫補助で上乗せをしますが、一般財源を乗せるのは林務部の予算でございますので、そういったものも合わせてまいります。 ◆佐々木祥二 委員 合わせてどのくらいあれば実現可能なのかということです。当然、林務部の予算も使いますし、流域治水の考え方も入れていきながら、実施するのではないかなと思いますが、大体幾らほどになるのでしょうか。 ◎柳原健 森林政策課長 すぐ計算してお答えすることができませんけれども、林務部の令和4年度の当初予算が146億8,000万円でございます。そのほかの公共事業も含めた数字にはなりますが、その中で、森林づくり県民税と組み合わせて行うことになっております。 ◆佐々木祥二 委員 34億円の事業が、1,499人の山林事業者でこなせるかというと、到底できる話ではないと思っております。これは担い手確保等々の問題もございますが、5年間で200人程度では不可能だと思っております。担い手確保から始まって、いろいろきれいなことは書いてありますけれども、なかなか事業が進まないのではないかと思っているのです。私が最初に議会に入った頃の林務部の予算は、大体350億円から、補正まで入れて500億円ほどありました。それが、10年間で半分以下になってしまいました。そして、今は、大体当初予算が140億円程度で、補正がついて150億円という状況です。今回説明もしていただきましたけれども、この林務の予算では、森林県から林業県へという数字にはならないと思うのです。ですから、いろいろなものを突き合わせて山を守っていかないと、これはできないと思います。まして今は、集中豪雨もあります。根が不十分な状態で木が大きくなりますと、雨が降れば崩れてしまうような環境です。九州等のどの災害を見ても、みんな立木が川へ流れてきて、それがオーバーフローして大災害になるということですから、緊急的にやらねばなりません。これは、当然ですが林業従事者だけでは対応できません。ですから、建設会社の皆様方にもお願いをして、架線を張るところは張り、集中的に切り、伐木や運材をして、製材工場へ持っていくというシステムを早急につくる必要があると思います。しかし、これは5年経ったとしても、できないと思います。きちんと計画を練っても、普通の公共の単価ではやれません。労務費も、平地で行う予算と、林地で行う予算を同じに考えるのは無理があります。林地ではチェーンソーが必要ですし、危険も伴います。本当に高性能な機械が必要になりますので、ここをしっかり対応しない限り、実行できないと思いますが、いかがですか。 ◎中島治 森林づくり推進課長 直接の回答になるかはわかりませんが、まず、林務部の予算のお話でございます。私どもで所管しております治山事業費落ち込みが非常に大きいことが、全体の予算を引き下げている大きな要因になるかと思うのですが、やはり平成10年から11年頃は公共事業等も多くございました。バブル崩壊の際は、経済の落ち込みに対応するための補正予算も大きく組まれていて、非常に多くの予算を頂いて事業をやっておりましたが、その後、国の状況に加え、全体的に公共事業が縮小されてきて、現状に至る部分があると承知しております。治山事業あるいは造林事業等は、国庫補助事業が多くを占めるわけですけれども、そういった予算を十分活用して、現状対応しておりますので、御理解いただければと思います。 ◎千代登 信州の木活用課長 ただいまの御質問の中で、人材のお話がございました。委員おっしゃるように、私どもも問題意識を持っております。非常に災害・労災の多い急斜面での作業でありますし、ほかの産業と比較すると所得も低めだということもあります。ここを改善していかないと、新しい人もなかなか入ってきていただけないので、しっかり支援していきたいと思います。これは、森林づくり県民税に限らず、全体の中でこれまで以上に支援する必要があると考えております。また、人口はどんどん減っていきますので、純増も厳しいという見込みもございます。働き方改革という言葉もありますけれども、おっしゃるように建設業といった様々な産業の皆さんの手を借りることも必要だと思いますので、そういった問題意識も持ちながら、今後取り組んでまいりたいと思います。 ◆佐々木祥二 委員 これも、市町村としっかり打合せをしながらやらねばなりません。先ほどの鈴木委員の発言にもございましたけれども、国土調査をしっかりやらないと、一つ相続しないで次の代になりますと、判子をもらう数が20人や30人になっていきます。そうすると、もう次の人に相続できないということになるのです。ですから、それを踏まえて、市町村の皆さんにお願いしつつ、しっかり国土調査をしていただきたいのです。今の測量は、ワンプロット分かれば全部の地図が分かるというものですから、林地それぞれで森林所有者に来ていただいて、見て、やっていただくことから始めないと、何もできないわけでございます。そこをしっかり市町村と打合せした上で、森林づくり県民税を使っていただいて、国土調査をすることが第一だと思っております。そういった意味で、長野県が森林県から林業県になるように、もっといろいろな予算をかき集めて、しっかりやっていただきたいと思いますが、部長の決意をお聞きして終わりにします。 ◎吉沢正 林務部長 林業県に向けた取組の決意ということです。先ほど委員からお尋ねのありました、森林づくり県民税自体では34億円程度になるということですけれども、それに係る概算の事業費を計算しますと、事業費ベースだと70億円ほどになるのかなと思います。なので、お話にありましたとおり、森林づくり県民税も活用しつつ、当然ベースになる部分の他財源もございます。林務部だけで確保するというのはなかなか難しいのですが、必要な予算の確保に努めながら、市町村や、実際に携わる事業者ともよく話をして計画を立てつつ、着実に取組を進めてまいりたいと思います。以上です。 ◆依田明善 委員 よろしくお願いいたします。私も長野県森林づくり県民税に関する基本方針案のところで、少し御質問をいたします。基本方針案の6ページの(4)の下側に、道路への倒木防止事業というものがあります。県が管理する道路沿線の危険な木材を伐採するということでありますが、確かにこれは、本当に危険なことだと思います。南佐久はカラマツが非常に多いということです。カラマツは御存じのように成長も早く、どんどん背丈も伸びますので、ほとんどのカラマツが電柱よりも高いところへ伸びているそうです。台風が来れば倒れるところもありますので、見ていて冷や冷やします。実際に木が倒れて停電するといった事故もあるわけです。今までもこういった事業はある程度されていると思いますけれども、こういった危険木はどの程度あると把握されているのでしょうか。また、危険木の伐採作業はどこまで進んでいるのでしょうか。その辺りを教えてください。 ◎柳原健 森林政策課長 森林づくり県民税に関わる道路の危険木伐採の御質問でございます。実際の執行は建設部で行っているのですが、第3期から、道路への倒木防止が始まりまっております。財源としては森林づくり県民税を活用しておりますが、当時は台風災害等の災害が多く、実際に倒木になった際には、保安の観点から、道路橋梁維持の関係の予算で除去を行ってまいりました。今回は事前伐採ということで、森林づくり県民税の中で、5年間で20か所という目標を立てて実施しております。この第3期の中では、予算的には1億1,500万円を建設部で使っていただいて、目標を上回る24か所を実施してまいりました。御質問の危険木がどの程度あるのかという部分については、私どもも把握しておりませんが、道路沿線の状況を見ますと、そういった箇所は当然木の成長に伴うものでありますので、一定程度の量はあるのかなと思っております。 ◆依田明善 委員 そうですね。どこも伐期を迎えているということは、要するに電柱よりも高いところに背が伸びているということだと思います。電柱の周囲の木を伐採したとしても、同じ樹種を植えると、また何年かすると同じ状態になってしまうということです。そういう危険が及ぶ範囲については、ツツジやアジサイといった低木を沿線上に植えるのはいかがでしょうか。そうすれば、視界も開けて、危険も減りますし、災害防止にもなると思います。長野県独自の観光道路としても打ち出せるのではないかと思うわけですけれども、御見解をお聞かせください。 ◎柳原健 森林政策課長 伐採後の植栽についての御質問でございます。この3期までの事業は、基本的には除伐や間伐といった森林整備に関わるものに森林づくり県民税を充てております。低木の植栽というお話は、実は第4期に向けて市町村と少しお話をさせていただいたときに、同じような御意見が出ました。実際は道路というよりも、例えば観光地の見晴らしをよくするために修景伐採をしても、同じ木であればまた見晴らしが悪くなるので、低木の植栽についても森林づくり県民税の対象にしてほしいという御要望でした。これからは、将来に向けて同じことの繰り返しにならないように、そういった取組についても検討する余地があると思っております。直接的なお答えではありませんけれども、そういう観点も含めて、またこの方針案をまとめていきたいと思います。 ◆依田明善 委員 そうですね。我々のところは小海線が走っているのですが、高原列車ということで、昔から大変人気がありました。「高原へいらっしゃい」というテレビドラマもありましたが、私が本当に小さい頃は、八ケ岳も一望できて、千曲川も小諸から清里、小淵沢まで通して、非常に景観がよく見られたわけであります。本当にすばらしい景色だなと思ったのですが、今、乗ってみると、本当に鬱蒼とした状態になってしまっています。ハイレールといった観光列車も走っていますが、あれだけ木が邪魔していると、お客さんが乗っても十分に楽しめないのではないかと思うのです。そういうこともあるので、家の周りも大事ですが、鉄道や道の周囲もしっかりと整備することが大事ではないかなと思います。もう亡くなってしまいましたが、当時八ケ岳や千曲川、小海線の車両といった写真を撮って有名だったある写真家の方が、自然というのはほったらかしていいものではないと、つくづくおっしゃっていました。やはり我々の生活の中に溶け込ませていくには、お金をかけて手を入れていかないと、どんどん醜い姿になってしまうし、そこに住んでいる人たちの心も荒廃してしまうというお話をされていました。まさにそのとおりだと思います。今はローカル線も利用者が少なくて大変な状態ですけれども、長野県で一斉に景観を良くするだけでも、大分お客さんを呼べるのではないかと思ったりもします。これは要望ですけれども、そんなことも思いました。ですから、条例の内容というよりも、そのような意識を持って、森林づくりや里山づくりをしていければいいと思いますので、よろしくお願いします。  それから、2ページのウのところに、森林づくりに関わる人材の育成とありまして、更にその下に、多様な県民ニーズに応えるための森林の利活用という項目があります。セラピー基地の整備に加え、教育や子育てにおける森林の利活用といった文言も並んでいますが、言うのは簡単ですけれども、実際に行ってみると様々な問題や課題が見えてきます。個人的なエピソードで大変申し訳ないのですけれども、20年ほど前に、個人的に森林のもたらす癒やし効果やセラピー効果、それから里山づくりといったいろいろな企画を立てました。これは午前中に、鈴木委員から里山の定義についてお話もありましたが、我々も里山づくりは本当に重要なことだと思います。鳥獣の被害についても、鹿や熊といった野生動物は、里山が荒れてきてからだんだん被害が大きくなってきたという傾向もあるそうです。昔は里山や裏山をみんなでしっかりと整備して、それこそ午前中の話になりますが、生活の手が届く範囲は人間が責任を持ってきれいにすることによって、野生の動物が警戒感を持ち、そこには近寄らなかったという事実があるわけです。そういう背景に加えて、情操教育の一環として、子供たちが安心して遊ぶことができる場所をつくるために企画したわけであります。そこで、一山を少しお借りいたしまして、セラピー基地のようなフィールドをみんなでつくったことがあります。大した宣伝もしなかったのですが、やはり同じ問題意識を持つ人も多かったのか、たちまち数十人の皆さんが集まってくださいました。集まったメンバーを見ましたら、子供たちから高齢者まで、本当に様々で、仕事も様々でした。住んでいるところについても、県外も含めて本当にいろいろなところから来ていただきました。登山が趣味で木登りが得意だとか、そういった猛者もいましたけれども、中には対人恐怖症の方だとか、それから自閉症のお子さんとそのお母さん、あるいは旦那さんが少し認知症っぽくなってきて、それを心配した奥さんが誘いまして、参加された方もおられました。様々な事情を抱えた皆さんが多かったわけですけれども、そんなことで結構集まったわけです。初日は早速山に向かって、なたやのこぎり、鎌だとか、希望者にはチェーンソーの使い方を教えたりもしまして、その後それぞれ好きな場所に行って、下草を刈ったり、チェーンソーで簡単な木を伐採してみたりもしました。お互いに利害関係もありませんので、お昼には車座になって、持ち寄ったお弁当を食べたりして、皆さんとても楽しいひとときを過ごしました。  こういったことが二、三か月続きまして、いよいよツリーハウスだとか、小さな山小屋を造ろうという話になって、設計図を描いたり、コンクリートの独立基礎を打ち込んだり、土台も敷いたりもしました。みんなの期待がどんどん膨れ上がってきたわけでありますけれども、ちょうどその頃、地元の住民の一部からこういった活動をいぶかしがる声が聞こえてきたわけであります。あの連中は何を始めたんだということで、要するに、かなりうわさになっていたみたいです。考えてみれば、土日に見ず知らずの車が何台も何台も山の中へ入っていくわけです。これは怪しまれるのも当然だなと今は思うわけですが、私も、ついに地元の畑を耕している人たちから、ちょっと迷惑だということを直接言われたりもしました。そうなると、あの時は私も強く反論もできず、そのことがきっかけでメンバーの皆さんも急に萎縮して、そういった話はだんだんとなくなり、活動も一気に終わったという経過があります。これは20年前ですから、まだ里山での民間活動は市民権を得ていなくて、奇異の目で見られる部分が非常にあったのかなと思います。ただ、当時は、もし行政的なバックアップやお墨つきのようなものがあったら、もっと続けることができたのかなと思いました。こういった事例について、皆さんは今までお話を聞いたことがあるか、お伺いしたいと思います。 ◎千代登 信州の木活用課長 里山づくりも含めた利活用やレクリエーション的な楽しみも含めた事例をお話しいただきました。そういった事例は、ほかにもあるのかという御質問でございます。ちょうど20年前ほど前から、里山に入って多様な活動をしたいという皆さんのニーズが出てきたのかなと私も思っております。そういった中でも、里山を使いたいという思いを持つ方々と、里山を所有している森林の所有者が別である事例が非常に多いと認識しております。所有者さんの理解を得ながら、あるいはその所有者さんと一緒に活動するのが主体になるとは思いますが、近隣の里山を所有する方もいらっしゃいますので、その調整が非常に大変だという話をその頃からお聞きしております。ちょうど平成15年から17年の頃ですけれども、県では、ふるさとの森林づくり条例を制定しまして、その中で、里山整備利用地域という名前の地域を、市町村長の申出によって県知事が認定するという制度を設けております。里山を活用して地域ににぎわいを取り戻すという地域活動は、所有者や地域の合意も必要になりますが、そういった手続を経て市町村へ、市町村から県に上げていただいて認定をするというものです。認定されれば、それぞれ各地域振興局の林務課の普及指導職員がそういったところをフォローするという制度をつくりました。委員がおっしゃったような行政的なバックアップや、ある意味での行政の後ろ盾ということについては、そのような制度で対応するということでありまして、これは今、第3期の森林づくり県民税で同様の支援をやっておりますけれども、一つの選択としてはあり得るのではないかと思っております。 ◆依田明善 委員 そうですね。私たちが活動したのは、ある村の中ですけれども、役場の職員の一部でもいいですし、地域住民の皆さんに対しても、これからこういう里山づくりがとても大事なので、皆さんも御協力してくださいねといった発信や啓蒙といったものがもっと広がっていれば、非常にやりやすかったのかなと思います。せっかく立派な基本方針もできてきているわけですから、今後も具体的に機能させていただきたいと思います。これからの時代、自然をフィールドにした活動をやりたいという人は、当然多くなると思います。そういった活動に対して、例えば県有林の一部を提供するとか、楽しく活動を続けられるためのノウハウを提供することも必要だと思います。  それから、2ページの下側にも、森林セラピーの利用を促進するためのセラピー基地の整備や、コーディネーターの育成、豊かな自然を生かした自然教育、屋外教育を推進するためのプログラムの開発、人材育成等が書かれています。しかし、これは先ほども言いましたけれども、文字で書くことは簡単ですけれども、大事なのはこれをどうやって実現していくのかということです。具体策はもちろん、行政の信念というものも必要ですし、もちろん実行力も必要になってくるわけであります。その点についての御見解と、林務部の意気込みをぜひお伺いしたいと思います。 ◎中島治 森林づくり推進課長 県有林の利活用ができないかという御要望に対して、現状どのような例があるか、若干御紹介させていただきたいと思います。部分林といいまして、先ほどの県行造林と逆で、県有林をその団体等が整備をして、最後分収するという制度があります。例えば松本の本郷県有林のように、深志高校のOBの団体である財団法人深志尚学会が整備し、深志高校の校外活動、校外研修の場として使われているといった事例もございますし、その他協定によって使用していただいている例も幾つかございます。状況によってはそういった利用も考えられると思いますので、よろしくお願いします。 ◎千代登 信州の木活用課長 里山の取組については、今回の提案や方針案にもございますけれども、その具体策と、信念、実行力というところでの御質問でございます。先ほど申し上げました里山整備利用地域については、100地域を超えてまいりまして、これに第3期森林税で支援をしてきたわけであります。そこで多彩な地域活動が、地域の皆さんによって展開されてまいりました。今後は、さらに多くの皆さんが親しめる里山になるところについて、さらに支援をしてまいります。いろいろ支援策が書いてあるわけですが、委員おっしゃるように、この取組が短期で終わっては意味がありません。例えば森林税の支援が終わった5年先、あるいは10年先、さらにその先というところも持続されなければ意味がないと私どもも思っております。  そこで、金の切れ目が縁の切れ目にならないよう、ビジネスとして、小さなお金でもいいので回る形にしていくことが解決策の一つだと考えました。実際に、観光やセラピー、健康など、いろいろな切り口があると思いますけれども、スモールビジネスのような形で里山を活用する方々も地域に芽生えてきております。この中では森林サービス産業という名前で申し上げておりますけれども、今回の森林づくり県民税の方針案の中では、そういった取組の芽を今後育てていくことも検討しており、公的な支援がなくても、里山に関わっていく方が増えていくことが望ましいと思っております。今まで林業という形で我々が関わってきた世界だけではなくて、ほかの部局、あるいはほかの業種との連携をさらに深めて、様々なアイデアを頂戴しながら、里山の森林の多面的な利活用が継続的に行われるように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。 ◆依田明善 委員 森林の持つ癒やしの効果やセラピーの問題も非常に重要だと思います。20年も前の話ですけれども、例えば私たちがそういう企画を立てただけでも、心に病を抱える人たちが集まってきてくれるということです。今はもっとニーズがあると思うのです。ですから、あとは受皿づくりをどうやって真剣に取り組んでいくかということです。本当は我々も、ヨーロッパなどの先進地に視察に行って、ノウハウを学べれば一番いいのですが、なかなかそういうわけにいきません。今でもありますが、昔は湯治でゆっくりと体を癒すということもありました。今はとにかく、川には小さい子供が1人で行ってはいけない、子供たちで行ってはいけないなどと言われております。このままだと日本の子供たちは大変なことになってしまうのではないかという危惧を、誰もが抱いていると思います。ですから、せめて村の中に、子供たちが自由に遊べる里山のような場所が、三つも四つもあっていいと思うのです。それには、民間の力も借りて、そうした意識も醸成させながら、里山で遊べる世界をつくっていくことが非常に大事だと思うのですが、最後に御意見がありましたらよろしくお願いいたします。 ◎吉沢正 林務部長 森林を整備するだけではなく、自然や教育やレクリエーション、様々な部分で利活用をするのはどうかという御提案でございます。私も小海町で、リ・デザインセラピーというお話を伺いました。都市部の企業の方を受入れて、そこで健康体験や食事も含めて数日間滞在していただいて、その効果を実感していただくという取組をお聞きしたこともございます。委員御提案のように、森林をただ整備するだけではなくて、利活用するという観点も大事だと思います。そのため、先ほど信州の木活用課長が申し上げたように、今までは里山を地域で利活用するために整備をしてきましたが、もっといろいろな方が利用できるような仕組みや、森林セラピーに留まらない利活用を模索する活動の応援する仕組みについても、新しい次期森林づくり県民税基本方針案の中でも検討していきますので、そういった視点を大事にしながら取り組んでいきたいと思います。以上です。 ◆小林あや 委員 よろしくお願いします。私からは、森林づくりに関することと、里山と野生鳥獣対策の関連について、お尋ねいたします。まず、森林づくりですけれども、先日の一般質問で林業公社について発言しましたところ、J-クレジットの販売や、先駆的な取組の実施といった趣旨の答弁がありましたので、これについてもう少し具体的に、仕組みや期待される効果についても教えていただきたいと思います。 ◎中島治 森林づくり推進課長 林業公社で取り組むJ-クレジットの効果についての御質問でございます。J-クレジット制度は、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組に基づくCO2など温室効果ガス排出削減量や吸収量を、クレジットとして国が認証する制度でございまして、そのクレジットをCO2排出削減ができない企業等が購入して、カーボンオフセットに充てるという制度でございます。林業公社がJ-クレジットに取り組むことで得られる効果としましては、今、申し上げたとおりですが、企業等にクレジットを販売することで、一定の収入が得られるため、自己財源によって森林整備等の事業が推進できるという点がございます。また、販売先の企業等がカーボンオフセットに活用するという点もございます。仮に公社の社員である市町村でクレジット申請等をする場合であっても、取組によって得られたノウハウを公社が活用し、支援することができるのではないかと思います。また、市町村を通じて、森林整備が吸収源として重要な役割を果たすことが周知されることによって、社会全体のゼロカーボン化に役立つと考えております。以上です。 ◆小林あや 委員 これから始まる取組ですので、私どももイメージしにくい部分があります。恐らく東京駅の周りの空間を、隣のビルが買って、その分の階層を上にするという感覚と少し似ているのかなと思うのですが、そのロードマップや目標、社会に対して期待される効果について、それから、県外の企業にまでその取組を広げるのか、そういったことについて教えていただけるとありがたいです。 ◎中島治 森林づくり推進課長 かなり広い御質問をいただきましたので、公社で取り組んでおりますJ-クレジットについて、まずは具体的に説明をさせていただきます。本年の3月に、いわゆるこれだけのCO2をクレジットするというプロジェクトが承認され、今年度から毎年、換算上で600トンのクレジットを販売するという計画でスタートしました。今年度のクレジットを得るための手続が今年度中に完了すれば、実質600トン、新設すれば800トンほどが申請できるのですが、実際の販売については来年からになります。それを、購入希望の企業がトン当たり1万2,000円程度で購入することにより、購入した企業が、自社で排出する二酸化炭素をその分だけ削減したという扱いになる制度でして、そういった取引をすることで、社会全体でゼロカーボンに近づける仕組みだと承知しております。以上です。 ◆小林あや 委員 公社も大体年間で13億円程度の歳入歳出があると思いますので、その中で実際の決算も含めて考えますと、大体1億円ほどの事業収入になると思います。公社とは、公金を投入するだけの価値があると判断された団体であるので、一般質問で申し上げたとおり、進捗を見守っていただきたいと思います。ただ、そうはいっても財政とのバランスも大事にされる時代であります。インターネットのホームページにも実績は出ておりますが、もう少しわかりやすく、より広く県民の人たちが実感できるような姿にしていただけると、公社に対する展望やイメージ変わってくるかなと思いますので、ぜひ取組をよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、目指す森林の姿ということで、おおむね100年後の森林という表現が使われています。これは、森林づくり指針ですけれども、最初にその動きが始まったのは平成17年でしたでしょうか。私もインターネットで調べましたが、どこに出ていたか記憶がないので、また後で教えていただければと思いますが、大体平成17年からつくられ始めて、そこから現行の森林づくり指針がつくられ、今、新しいものを策定中なのだろうと思います。そういった文書を見ておりますと、毎回100年後の森林という表現が出ております。今回もおおむね100年後の森林という言葉が出ていますが、一体100年後とはいつのことを指しているのでしょうか。例えば100年後に、針葉樹と広葉樹の樹種転換もあるとは思いますが、そのときの計画からの100年後なのか、常に計画を立てるときから100年後のことなのでしょうか。 ◎柳原健 森林政策課長 指針の改定で、100年後ということでございます。冒頭の指針のお話でございますけれども、過去の経過でいきますと、平成17年に指針を改定し、その5年後である平成22年にも改定をしています。そこから10年ごとに改定するのですが、今回は2年延長しております。当時の指針の内容と、今、改定中の内容については、それほど大きな差はないと思っていまして、いつの時点から100年後かという明確な基準はございません。ただ、針葉樹と広葉樹の割合といった目指す姿については、これまでと変わらず取り組んでおりますし、指針の中で御説明しましたけれども、令和40年代に向けてその割合を変えていくというところはお示ししていますので、一つの目標として、100年後のイメージを示しております。 ◆小林あや 委員 今回の資料でも出されていますが、長野県は他県に比べて主伐がやや遅れております。それから、再造林の様子も他県に対して遅れているという点について、今の明確でないというお答えに端を発しているのではないかなと危惧しているわけです。どこに責任の所在があるのでしょうか。要するに、理事者の皆様も何年かごとに替わっていきますし、我々や知事も替わります。その中で、自分たちの担当ではないときにつくられた計画に対して、どのように進捗をチェックし、森林を管理するのか、私たちがこの計画とともに目指す森林像はどのような姿なのかといったことが、非常に分かりにくいのです。せっかく森林づくり指針が更新されても、いつも100年後と記載されていたり、針葉樹と広葉樹の転換も4対6を6対4にするというものだったり、どのような戦略でその実現を目指していかれるのか、わかりづらい部分があるため、具体的な例をお伺いします。 ◎柳原健 森林政策課長 指針の進捗の管理についての御質問でございます。一般的に10年物の行政計画は、その途中の5年で見直しをしながら進めていきます。今回は特に、再造林を進めていくということで、少し指針と県民税の議論と重なる部分がございますけれども、各年度でどのくらい増やしていくか、数値を示してございます。ですので、基本的には数値を進捗管理しながら、遅れている分があれば手当てしていくというものでございます。また、担い手の部分についての計画も、今、つくってございます。しかし、結果としては、途中年度の見直しが大規模に行われなかったという点もありますので、現行指針では目標達成できていない部分がかなりあります。そういう点を反省しながら、途中の進捗管理をしっかりやっていくことが、今の委員の御質問に対するお答えになるかと思います。 ◆小林あや 委員 目標を達成するためには、目指すべき森林像について、県民の皆さんにも共有されなければならないと思うのです。加えて、新たに林務の管理者になられた皆様にも共有されていかねばならないことだと思います。着任1年目なのでよく分かりませんということではなくて、日頃から林務に携わられている皆さんは、目指すべき森林像を共有する必要があるのではないのでしょうか。県民とゴールを共有する手段について考えた時に、例えば森林づくり県民税のアンケートで見ましたが、内容を初めて知ったという県民が35%以上もいました。これが現実です。県民の皆さんに、森林の大切さや、森林づくり、目指す信州の森林というものを、具体的にはどのように共有していく予定でいらっしゃるのでしょうか。 ◎柳原健 森林政策課長 森林の目指す姿の共有という御質問でございます。行政のやっていることを県民の皆さんと共有するのは、とても難しいことであると実感しています。森林に限らず、今日御質問にあった里山のイメージも、人によってかなり違う部分もありますし、森林の姿も、森林の機能を十分発揮するエリアや地形によって違いますので、そういったイメージを皆さんと共有するのは本当に難しいなと思います。いろんなことを実感していただけるよう、施策に取り入れることはもちろんですが、普及啓発活動について言えば、これまでも税に関しては、ほかの行政がやっていることにもかなり踏み込んで、SNSも活用して発信しています。ただ、なかなかアンケート結果ではそこまで数字が伸びていないので、本当に長期間の課題だなと思っております。常に県民の皆さんとの共有は意識しながら、いろいろな場面や会議を通じて伝えていくしかないと考えております。 ◆小林あや 委員 そうですね。これからはメディアコミュニケーションの時代になるのかなと思います。また、子供たちはアニメが好きなので、例えばアニメ動画にして、森林の涵養をお伝えすることも一つの手段かもしれませんし、そういうところにお金をかけてもいいのかなと思います。それと、例えばキノコや山菜、材木といった山の財産を持っている方から、本来は持ち主が整備すべき森林についても、税金で賄うのが当然だという声が聞かれることもありますが、そういう声が大きくなり過ぎてしまうと、土地を持たない県民からしてみれば、とても不公平に思うこともあります。しかし、森林のもたらす恩恵には、森林にしかないものもあります。そのバランスについて、どのように理解してもらうかという点が大事だと思います。先ほど鈴木委員のお話の中にも、持ち主の当事者意識が大事だというところがありましたが、やはりそこが大事なのです。自分たちが管理できなくなったから、その代わりに税金を使って管理するけれども、その分の恩恵をどのように納税者の皆さんに還元するかということも含めて、一緒になって議論していかないと、なかなか理解は得られないのではないでしょうか。そういった現実もありますので、ぜひ解決策を検討していただきたいと思います。  次に、里山と野生鳥獣対策との関連です。やまほいくのフィールドを整備されるということで、非常に頼もしいことだと思いました。私の地元にもやまほいくの認定園が一つございます。松本市波田に移転する前は、梓川地区のふるさと公園の麓にありまして、そこの農家の古い家を借りて運営していたのですが、最初は、何の団体が来たのかと、不審がられたことがあったそうです。しかし、山で子供たちが遊んでいましたら、熊の出没が非常に少なくなったということで、農家の皆さんが喜んでいるというお話を聞きました。人間の匂いがついて、常日頃人間の声がしているところには、野生鳥獣も慎重に生きていますので、行きづらくなるということです。このように、やまほいくと野生鳥獣の対策は、ソフト面で連携ができるのではないかと思います。こういったところを政策としてもう少し関係部署との連携を密にし、情報収集もされながら考えていくと、やまほいくがもたらす林業、森林との関係が変わるのではないかと考えた次第です。御検討いただき、もし御意見があればお願いします。  そして、もう一件、ツキノワグマについてもお聞きします。ツキノワグマの出没が増えているということですが、私がお聞きしたいのは、今、コミュニティーが高齢化しているということで、かなり早い時間にウオーキングされている御夫婦をよく見るのです。夕方もそうですが、今まで熊が活動していた時間帯に、逆に人間が入り込んでしまって、山に帰ろうとしていた熊を見てしまったということもあるのではないでしょうか。以上2点について、お願いします。 ◎小澤岳弘 鳥獣対策室長 2点の御質問をいただきました。1点目はやまほいくと野生鳥獣との関連です。先ほど御指摘にあったとおり、野生鳥獣と人間の生活域をすみ分けて、緊張感のある環境をつくり出して共生していくことが、野生鳥獣対策の目指すところだと思っております。ですので、里山を利活用するということは、当然野生鳥獣との環境を分けることに寄与しますので、その点についてはかなり有効だとは思います。そこにやまほいくを直接結びつけるかどうかという部分は、いろいろな考え方があろうかと思いますけれども、やまほいくに限らず、今回森林税でも予定しております河畔林や、里山での間伐といった活動でも、獣を山に追いやるという効果も期待できますし、里山には様々な林業事業体や部局等が絡んでおりますので、緊密に連携を取りつつ、野生鳥獣対策に努めてまいります。  また、2点目の早朝のウオーキングや熊の移動時期の関連性についてです。確かに御指摘のとおりで、熊は本来、昼間に活動する動物なのですが、人間との接触を避けるために、暗く早朝や夕方といった時間帯に動きがちでありますので、そういうところで遭遇するリスクは非常に高くなると言えます。先日も、御代田町の林道をウオーキングしていたところ、熊と遭遇したケースが1件ありました。そういうところへなるべく行かないようにするというのもなかなか難しいかと思いますけれども、やはり季節によって、遭遇するリスクが高まる時期がございますので、そのような頃にはなるべく行かないようにすることが一番の対策になります。しかし、どうしても行かねばならない場合には、自分の存在を知らしめるように、何か音の出るものを身につけていただくといった対策を、できるだけ勧めていきたいと思っております。 ◆小林あや 委員 やまほいくに限らず、それに関連する取組をより広い形で行うということですが、それは本当に大歓迎です。ただ、なぜやまほいくがいいかというと、人間は団体で行動するほうが、絶対的に安全だからです。先ほどのツキノワグマもそうですが、1人や2人のウオーキングでは遭遇してしまうこともありますので、ぜひそういった点も対処していただきたいと思います。  ツキノワグマですけれども、やはり熊の時間帯に人間が入り込んでしまうことも実際にあると思います。専門家の意見をお聞きしたら、山に静かに山へ帰っていく熊は危険ではないから、そのまま帰らせてあげればいいということです。熊を目撃してしまったから、もう危ないと、すべての熊を丸ごと危険な動物だと決めつけてしまうことは、逆に共生という点にも影響が出てきてしまいます。里山に出てきて、人との共生に支障を来すような熊と、そうでない熊との差を明確に区別して、我々も対処していくべきだと思いますので、ぜひ周知をお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございました。 ○小山仁志 委員長 午後2時45分まで休憩を宣した。
    休憩時刻 午後2時33分 ●再開時刻 午後2時45分 ○小山仁志 委員長 再開を宣し、委員の質疑等発言を許可した。 ◆池田清 委員 それでは、私からも、コンパクトに何点か質問します。この委員会で、長野合庁と松本合庁に視察で行った際に、間伐を進めたいが、予算がないということで、地元の森林組合から陳情がありました。これは森林づくり県民税が絡みますし、林務部の予算から間伐に係る財源をどのように求めるかという問題になりますが、先ほどの説明にもあったとおり、間伐が目標になかなか達しないという課題もあります。まさに今、伐期を迎えていて、主伐、そして再造林という、まさに50年、100年先を見越した大きな流れもありますけれども、しっかり間伐もしなければいけませんし、そうした山林もたくさんあるわけです。私も小田切に2町歩ほど山林を持っているのですが、祖父と一緒に植えたカラマツがそろそろ50年になるということで、伐期を迎えました。中学生の秋から、一緒に植林した杉を、雪の重みで曲がらないよう春先に荒縄で起こすといった整備をずっとやってきましたが、さすがに最近は、もう20年近く行けておらず、今、どうなっているのかはわかりません。それでも、やはりそうした山林で災害になれば、根の浅い杉はみんな持っていかれますし、これはしっかり間伐し、整備していかなければいけないと思います。間伐をきっちり実施することについては、二つの森林組合の組合長も切々と訴えていらっしゃいましたし、ぜひとも必要なことだと思います。森林づくり県民税森林環境譲与税等いろいろ財源もありますが、間伐に対するお考えをもう一度確認させていただきたいと思います。 ◎中島治 森林づくり推進課長 間伐がまだまだ必要ではないかという御質問で、予算が足りないため、事業が実施できないというお話については、森林づくり県民税を活用した間伐で10分の9補助のお話だと思います。通常、国庫補助の場合は、7割補助で実施しておりますので、こちらを活用したほうがより有利でございますけれども、通常の国庫補助事業の間伐も、予算は十分にありますので、そちらを活用していただければと思っております。搬出間伐等で収入を上げて、残りの分もカバーしていただければと思います。また、境界確定ができていない、所在が不明という点で間伐が遅れている部分もあるかと思いますが、そういった部分につきましては、市町村に森林環境譲与税を活用しつつ対応していただくなど、市町村と連携を取っていきたいと考えております。 ◆池田清 委員 予算の有無や、それぞれの市町村の森林整備課や山林を所有している地主に全部お任せするということではなくて、県としても大きな方針を持っているわけですから、実現するためには何をしなければいけないか、示す必要があると思うのです。それこそが林務部の仕事だと思いますので、ぜひとも、県が率先して、77市町村それぞれの森林整備の担当者や、森林を所有している県民と連携していただきたいと思います。結局、その森林事業体であれ森林組合員であれ、間伐や様々な作業をするにも、人手がなくては駄目なわけです。30度を超える斜面で間伐し、植林するのは大変なことですし、そのためにはやはり人を育てなければなりません。高性能な林業機械の操作といった様々な技術も習得してもらうなど、いろいろな課題もあります。昨年は林業従事者が50人も増えたという資料も示していただきましたし、事業体も6事業体増えたということですが、実際に作業をしている森林組合の皆さんとの間には、その点においてミスマッチがあるのではないでしょうか。私の実家は、中山間地の元桑畑の斜面の、切土と盛土で宅地を造りました。最初の頃は園庭もなく、すぐ近くに流れていた小川に対する土留めの役割も含めて、杉を植えました。それが50年か60年ほど経ちまして、家に倒れたら大変なことになるということで、今年の夏に、150万円もかけて、いわゆる支障木を伐採しました。その木を売ったら30万円になりましたので、実際は120万円の支出でしたが、大変な支出でした。森林組合に見積りを出してもらいまして、1週間かけて、滑車で倒れる方向を変えたり、木を引き出すために大きなクレーン車を使ったり、市道も通行止めにして、1週間かけて作業をしてもらいました。しかしながら、実際に作業をしたのは森林組合の職員ではなく、いわゆる事業者でした。飯山から来られた大変能力のある方で、班長を中心に6人ほどで作業してくださいましたが、事故なく、きれいに片づけてくれて、予定どおり終えることができました。それで、森林組合の皆さんは何をやっているかと思うと、森林組合の車を持ってきて、ビーバーで犀川の草刈りをやっているのです。そういうことを考えると、やはり森林組合の皆さんも仕事がないわけではないと思いますし、まさに山林で伐採や植林をし、様々な下草刈りをすることが本来の仕事であって、土手の市道や国道での除草は、別のところにも依頼できるのではないかとも思います。人材育成とその他の人とのマッチングについては、いかがお考えでしょうか。 ◎千代登 信州の木活用課長 林業の技術者の人材のマッチングという御質問でございます。今、お話しいただいた中では、おそらく特殊技術の関係もあって、業者が遠方から現場にお越しになったということです。林業従事者数については、先ほど1,499人と申し上げましたが、どちらかというとスケールが小さい産業でございます。ですので、作業の内容や技術のレベル、それから繁忙期にも地域性がありまして、北信、中信、東信、南信と、それぞれ事情が違うわけでございます。そういった理由で、仕事をお願いしたときに、すぐできない、あるいは近くの事業者で手配できないというお話はよく聞きます。そこで、県では令和3年度から、人材不足の地域と、余裕が生じている地域の人材を流動化させて、人材の需給のマッチングを図る取組を支援しておりまして、人口減少社会の中で、限られた人的資源を有効に生かせるよう取り組んでいるところでございます。 ◆池田清 委員 まさに知事も、50年、100年先を見込んで、長野県はこれから森林県から林業県へと変わっていくのだと、県民に対して訴えているわけですが、それを担う林業事業者や、現場で働く技術を持つ人たちをしっかり育てていかないと、絵に描いた餅になってしまいます。ここにいる皆さんだって、50年先もお元気で、実際にお仕事をしているかどうかも分からないわけです。先ほど佐々木委員がおっしゃったとおり、県内の土木事業者や様々な異業種の皆さんにもしっかり指導に入っていただいて、林業県として生まれ変わるべく、その意気込みを実務に生かしていただきたいです。計画をつくっても、現場は山林にあるということを肝に銘じて進めていただきたいと思います。お金がいっぱいかかってしまったものですから、愚痴っぽくなってしまいましたが、私もしっかり山林を守っていきたいと思いますので、ぜひ林務部も頑張っていただきたいと申し上げまして、終わりといたします。 ◆中川博司 委員 それでは、幾つか御質問をさせてもらいます。一つは森林づくり県民税の関係です。再造林の費用の個人負担がゼロとなっておりますが、その前に主伐が行われていることと、個人資産があるということの関係性について、県民に説明が必要になるのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。 ◎中島治 森林づくり推進課長 再造林に対して10分の10の補助をするに当たって、そういった資産はどのような扱いになるのかという御質問だと思います。主伐後の再造林については、地ごしらえや、植栽、下刈り等の作業がありまして、その後も主伐するまで、次の収穫までには相当の期間と経費がかかるわけでございます。現在は、以前よりも若干、木材価格が上昇しているわけですけれども、そうはいっても主伐後の再造林が足かせとなり、森林所有者が主伐そのものへ意欲を持ちにくいという状況があります。また、あるいは主伐しても、再造林を放棄してしまうことなどが想定されております。そこで、下刈りまでの初期段階の費用を手厚く補助することによって、森林所有者の負担を軽減し、主伐・再造林への動機づけにつなげることを期待しております。次期森林税における大きな柱である森林の若返り促進と安全・安心な里山づくりを目指して、主伐・再造林を促進するためにも、大変重要な対策であると考えております。 ◆中川博司 委員 その点もぜひ説明の中に加えてください。それから、ウッドショックによる需要についても、今、お話がありましたが、そういう中で主伐が進む一方で、外国産材の輸入の回復といった状況変化も、この先の可能性としてはあり得ます。そういった際に、安定的な県産材の活用策がなければ、結局、主伐は進みません。主伐が進まなければ再造林が進まない。再造林が進まなければ、一体この県民税は何のために使うのかということになりかねないので、県産材の恒常的な活用策について、きちんと考えていく必要があると思います。そのことについて、お考えをお聞かせください。 ◎栩秋隆哉 県産材利用推進室長 恒常的な産材需要の確保の見通しについて御質問をいただいております。恒常的な木材の需要の見通しを立てることは、森林所有者の方々に安心して木材生産をしていただくという観点でも、非常に重要なテーマだと考えております。現行の森林づくり指針におきましても、様々な用途における需要の開拓や開発を目標に掲げ、それに対する実績として、接着重ね梁の開発や、あるいは集成材の耐火構造といった新用途開発をこの10年間で進めてきましたので、一定の需要の確保は図られているわけでございます。その結果、10年間で素材生産量が約1.5倍になったということで、森林所有者の方にも、素材生産増大に向けた取組が徐々に進んできている状況にあると思っております。その一方で、委員御指摘のように、ウッドショックや新型コロナウイルスの関係、あるいはウクライナやロシアの情勢といった木材の需給構造を大きく揺るがすような出来事もありまして、なかなか長期的な見通しを立てるのも難しい状況であることも課題であると思っております。しかしながら、全国的な動きとしても、国産材へのシフトが進みつつありますので、我が県も乗り遅れないように取り組む必要がありますし、次期森林づくり指針の中でも、林業や木材産業の目指すべき姿もしっかりと考えて、具体的にしていきたいと考えております。以上でございます。 ◆中川博司 委員 これは、鈴木委員がおっしゃったように、林務部だけの課題ではないと思います。これからの長野県の小学校は、全部県産材で造るくらいの覚悟がないと、恒常的な県産材の活用の道というのは開かれていかないのではないかと思いますので、そのような点も含めて、県庁全体で、恒常的な県産材の活用策について検討が必要だと思います。  それから、林業経営に適さず管理意識もない森林の間伐については、市町村の森林環境譲与税を使い間伐を行って、林業経営に適さないが管理意志のある森林は、森林づくり県民税を使って防災・減災のために必要な間伐を行うとありますが、一般質問でも小林東一郎議員からもありましたが、これは明確なゾーニングができるものなのでしょうか。 ◎中島治 森林づくり推進課長 ゾーニングに関する御質問でございます。委員がおっしゃるとおり、森林環境譲与税は、森林所有者が経営管理できないと意思表示をした森林について、市町村が事業主体となって行って、譲与税を森林整備に充てるものでございます。また、森林づくり県民税で実施する防災・減災のために必要な間伐は、道路や集落等保全対象に近い場所で、経営には適さないが、所有者が管理できている里山において実施するものでございます。境界が不明等で管理がなされていない森林については、譲与税等を活用した対策を取るなどの手段で対策を取るということになるかと思います。市町村と連携して適切にゾーニングを行いながら、森林整備を実施していきたいと考えております。 ◆中川博司 委員 それはそのとおりです。そこが難しいのではないかという質問をしたので、これから進めていく中で考えてください。関連して、先ほども池田委員からもありましたが、防災・減災のための、里山整備の第3期までの未整備分が1,500ヘクタールあるということですが、その根拠は何ですか。今までこれだけあって、これだけやったので、残りが1,500ヘクタールですということは、根拠とは言いません。先ほど申し上げたように、林業経営には適さないが、管理意思のある森林として、実際にはどこにどれだけ防災・減災のために間伐が必要な面積があるのか、その根拠について教えてください。 ◎中島治 森林づくり推進課長 1,500ヘクタールの根拠についてお尋ねいただきました。この数値につきましては、第3期の目標である4,300ヘクタールに対し、今年度見込まれる実績2,800ヘクタールで、残りが1,500ヘクタールということなのですが、それだけでは根拠とは言えないということについては、確かにおっしゃるとおりでございます。第3期の目標値を算出するに当たりまして、まずは長野県で実施した航空レーザー計測のデータを活用して、いわゆる道路や集落等の近くにある間伐が必要な森林を抽出しております。その中で、森林所有者が管理できるだろう森林をある程度推定しまして、一定の係数を掛けて算出した数字が4,300ヘクタールでございます。それを根拠に森林整備を行ってきましたが、搬出間伐等が増えるなど、標準単価、実施単価が上がったことも影響しまして、全部の面積を実施することはできませんでした。残りの1,500ヘクタールを第4期で実施する予定でございます。 ◆中川博司 委員 先ほど池田委員さんがおっしゃっていましたが、山もその中に入っているのでしょうか。松本地域の森林については、向山課長とも一緒に現場を見にいきましたけれども、この山は1年間のうち、冬の間は人家に光が入らないところも多々ありまして、整備がきちんと終わってないという感覚を持ちましたが、やはり具体的な積み上げがないと、いざ延長するときに、県民の皆さんになかなか納得してもらえないのではないかなと思いますので、具体的な点についても例示する必要があるのではないかと思います。  担い手の問題については、先ほど来話が出ていますので、少し絞って言いますと、中核的な担い手である事業体やそこで従事する人材への支援は、市町村の森林環境譲与税活用事業における取組事例としていると書いてありますが、これは可能なのでしょうか。 ◎千代登 信州の木活用課長 林業の中核的な担い手である事業体、またそこで従事する人材の支援について、市町村に配分される森林環境譲与税で使えるのかという御質問です。これは、資料の表の中で示してある一つの例でありますが、森林整備を推進するという、森林環境税の目的を達成するための施策であれば、その整備を担う人材の育成確保についても活用することは可能であります。あくまでも、括弧して市町村に配分される部分の表になっていますので、その市町村の中の事業者であるとか、そこで雇われている方の育成・確保について、その市町村に配分されたものを活用するという、市町村の中で完結するような場合になり、ケースとしては相当限られてくると思っております。森林環境譲与税ということで考えましたら、林業の事業体や人材に関しては、大きな事業体ほど、割と市町村の範囲を超えて、広域的にやられているところが多いとなっております。そういったときに、一つの選択肢として、県にも森林環境譲与税が配分されますので、県の施策でそれらを活用して支援するパターンもあり得ると思います。いずれにしましても、従来の国庫補助金等で対応できない部分で、中核的な担い手を支援する施策として森林環境譲与税を活用することは可能でありますし、中核的でない部分の支援に関しては、今まで空いていた部分でありますので、森林づくり県民税を使って支援させていただくように区別して実施していきたいと思っております。 ◆中川博司 委員 一緒に聞けばよかったのですが、林業の中核的担い手への支援について、別途検討と書いてありますけれども、それについても今の説明になるのでしょうか。 ◎千代登 信州の木活用課長 林業の中核的担い手の部分については、資料の25ページの上のイラストに関する御質問だと考えておりますが、通年雇用で専業的に従事される、いわゆる林業の中核的な担い手に関しましては、ただいま申し上げましたように、従来の国庫補助事業や、県の従来からの一般財源等で対応しているものであります。この資料に関しましては、森林づくり県民税の超過課税ということですので、従来の事業とは切り分けて、これまで対応できていない小規模事業者や、さらには将来的にその中核を担っていただけるような、潜在的な林業への理解者を増やしていく施策に充当したいと考えております。ただ、最初に申し上げた中核的担い手への支援策についても、今の状況では足りないという問題意識を持っておりますので、生産性の向上やさらなる就業環境の整備、あるいはもう一歩突っ込んだ新規雇用の促進策については、森林づくり県民税とは別にしっかりと対応するという意味で、この説明テーマでは別途検討としているところでございます。 ◆中川博司 委員 次に、森林づくり県民税の関係については、アンケートの読み方について教えてください。認知度について、「名称、税額は知っているが、使い道はよく分からない」「名称は知っているが、税額や使い道はよく分からない」、それから「名称、税額、使い道ともに知らない」と項目が分かれていますが、「分からない」それから「知らない」を合わせると、8割になります。79.2%の人が、アンケートで「分からない」「知らない」と答えています。ところが、「現在の取組内容のまま継続すべき」「現在の取組内容を継続するとともに、新しい取組内容を加えるべき」「全く新しい取組内容として継続すべき」と回答している方が66.4%もいるということが、よく分からないところです。このことは第1期からの課題でありますが、県民税を使ってどう変わったのかということが、県民の皆さんに知られていないことが原因ではないかなと思うのですが、その点について御見解をお願いします。 ◎柳原健 森林政策課長 森林づくり県民税の認知度という御質問でございます。委員がおっしゃったように、このアンケート結果では「内容はある程度知っている」という回答が2割で、ここを増やすことが従来からの課題であると、これまでも答弁してきたところであります。今回は、この方針の最終段47ページからあります、これまでの3期の取組をアンケートに同封してお送りさせていただきました。帰ってきたアンケートの自由記載を見ましたら、1,000名ほど回答をいただきましたけれども、本当に多くの方にコメントを寄せていただきました。その中では、これまで県民税でこういうことをやっているとは知らなかった、税の使い方としては、非常にいいことをやっているからこそ、もっと普及してほしいといった、どうしてもっとしっかりやらないのかという御意見が非常に多数ございました。このように、今回アンケートに同封した取組内容を見た上で、継続の部分についてお答えをいただいた結果が反映されたのだろうと思います。認知度の向上については、今までもいろいろな方法で対応しています。当然、本来的な森林整備に回る部分もございますので、あまり使い過ぎないように留意しつつ、今度は、税を使う取組をより身近な場面に増やすことも大事だと思っています。そういった理由から、四つの柱の中に、より親しみを持ってもらうということで、一つ柱を立てております。御指摘なり、県民の皆さんからも言われていることですし、我々も常に前向きに考えねばならないと思っておりますけれども、より一層心してかかっていかなければいけないなと思っております。 ◆中川博司 委員 最後に部長にお願いしますが、国の森林種苗法に基づいて、県がカラマツの種をつくっているという話を、私は知りませんでした。小海町で新しく木を植えただとか、川上村に種場があるとか、全く知らなかったのです。これは結構大事な話です。苗木となる種を取るまでに、15年かかりますし、そこから植えて、苗にして、そして木材として活用されるまでに50年から60年かかる。まさに100年かかるわけです。そういうことで、知事の小林委員による一般質問の答弁の中でもあったように、県議会の議会棟の前にある県有林の木を見ると、過去に先人が200年の計を持って山を育てたということが、本当に大事なことであると思いますので、その点を踏まえて、森林づくり県民税を延長していくことについて、思いを語ってください。 ◎吉沢正 林務部長 委員から、長期的視点を持った森林づくりの取組についてのお話をいただきました。私もこの部署に来て、採種場や育種場を見させていただいて、まさに今、委員がおっしゃられたことと同じ思いを持ちました。今回改めて小林議員からも一般質問もございましたので、県有林の木の内容を読ませていただいて、やはり我々の大先輩たちは、しっかりしたことを考えておられたのだと、非常に感銘を受けました。今、委員もおっしゃったとおり、森林づくりは、非常に長い目で見て考えていかねばなりませんし、今植えた木は、私の子供や孫の代になってやっと収穫ができるという、息の長い取組だと思います。その中で、県有林の木の中では、やはり県土保全や産業振興という視点で長期的に取り組む必要があると主に書かれていましたが、現在は、さらに公益的機能ということで、二酸化炭素吸収の話や生物の多様性といった機能も加わってきていると思います。まさに長期的な視点を持って、今まさに取り組まなければならない喫緊の課題もあるということで、今回も基本方針案の中でも触れておりますが、ゼロカーボン社会実現のための主伐・再造林や、それを支える林業人材の確保・育成に今から取り組んでいくという意味でも、次期森林づくり県民税を活用し、100年後の長野県の森林づくりのために取り組んでいきたいと思っております。あわせて、先ほど来からもお話に出ています森林林業そのものからは外れてしまうかもしれませんが、森や緑の恵みを私たちの生活の中で享受することも、これからの生活の中では大事だと思っていますので、今、お話のあった認識に基づきまして、長い目を持ちつつ、喫緊の課題に対処し、関係の皆様と共にこの長野県の森を守り育てていきたいと思っております。以上でございます。 ◆毛利栄子 委員 お疲れさまです。私からも、森林づくり県民税を中心に御質問させていただきたいと思います。諏訪地域は、今、小宮御柱祭の最中ということで、土日にはあちこちで小宮の御柱の曳行がされている状況です。その中で、諏訪大社の御柱の材をどのように確保するかということについては、いろいろと皆さんが御心配されているところです。下諏訪町には、100年後の御柱用材を自分たちがつくっていかなければならないということで、御柱用材を育む会というものがあります。私も毎年御案内をいただいて、参加させていただきながら、東俣国有林内で植林をずっと続けております。私は10年以上参加しているのですが、今回、知事からも森林づくり県民税をぜひ継続していきたいというお話もありましたし、また第4期に関しては、その約3分の1を充てつつ再造林を主に行うといった案も出されております。加えて、他県の民有の人工林と比べて、長野県は特に再造林がされず、50年生以上の木が非常に多くなっている現状があります。そういった中で、再造林が必要だと強調されると、唐突な印象があります。いい森林をつくるために、当初は切捨て間伐をずっと続けて、その後搬出間伐に変わり、今度は主伐の時代だということです。今になって、全国の森林県と比べて、新しく再造林されていないところが広がっているから、今度はそちらにシフトするということだと捉えました。例えば25ページの図を拝見すると、確かに長野県で再造林が進まなかったという事実は歴然としておりますが、どうして今まで再造林をしてこなかったか、お尋ねいたします。 ◎中島治 森林づくり推進課長 なぜ急に再造林なのかという御質問でございます。確かに25ページの資料のとおり、長野県は高齢級の森林に偏っております。高齢級であることも問題ですが、逆に若い林齢の木による資源構成が少ないことが大きな問題であり、そちらを増やしていかないと、資源を循環した形で活用できなくなる恐れがあるため、主伐・再造林を積極的に進めることを計画しております。それで、なぜ長野県はこれだけ主伐・再造林が遅れているのかという理由でございますが、木を切って生産するということは、経済活動の中で行われるものですので、そこまでの需要が生じなかったことが挙げられると思います。しかし、近年、長野県の周辺でも、大規模な合板製材工場等が幾つか設立され、そちらの需要が大きく生じておりますので、ここ数年は素材生産量が大きく伸びております。また、木質バイオマスの利用等も進んできていることから、逆に供給を増やさねばならない時代になってきております。唐突に4期で再造林というお話でございましたけれども、実を言いますと、再造林に対しては既に手をつけておりまして、通常より15%かさ上げして促進しておりますし、今後は10分の10という優遇策を取りまして、積極的に進めていこうと考えております。以上です。 ◆毛利栄子 委員 山を育て、材を使うことを考える仕事に携わっている方々は、いずれにしても、川上から川下まで流れないと、なかなか循環していかないということも御承知いただきながらお仕事をされていると思うのです。しかし、歴史的に見ても、5齢級といったら50年や60年というスパンになってしまっています。現時点で25年から30年程度ですが、例えば昭和30年代に約二千数百ヘクタールの再造林がされていたのに、現状はその10分の1にも満たないというのは、あまりに落差があり過ぎると思います。こうした時代の変遷の中でも、行政は森林を育成しつつ、多面的機能を育てながら、材としても使ってきたということですが、需要と供給がアンバランスだというお話を加味してもなお、落差が大き過ぎます。本当に政策的にきちんと位置づけられてきたのか、非常に不思議に思ってしまうのですが、何か抜けていた部分があったのでしょうか。 ◎中島治 森林づくり推進課長 政策的に何か落ち度があったのかという御質問です。直接そのお答えにはならないとは思いますが、やはり数十年前までは、材価は高水準を維持していたのですが、海外の廉価な輸入材に押されて、国産材の需要自体が落ちてしまった部分がございます。なので、国内の中でも長野県は特に地域産の材の需要が少なかったということになるのだろうと思います。 ◆毛利栄子 委員 次に、主伐を進めつつ再造林を行うことになると思われますが、いただいた資料の中でも、木材生産量のシミュレーションは明らかにされているのですが、先ほど来も議論があったように、搬出した木材の利用をどう進めるかについても、一緒に考えていなかければいけません。これは、森林県から林業県にという目標の中でも掲げられていることですが、先ほどの川上から川下と同様に、今後、主伐と再造林と伐採を並行して進める中で、搬出材のシミュレーションはあっても、どう使うかという目的がないと、理解しにくい部分もあるかと思いますので、その点についてお聞かせください。 ◎栩秋隆哉 県産材利用推進室長 主伐により搬出される木材の利用についての見通しというお話でございます。先ほど中川委員の御質問にもお答えしましたとおり、やはり森林所有者の方々に安定した気持ちで木材生産をしていただくには、やはり恒常的、中長期的な木材需要の見通しを立てることが、非常に重要なテーマであると認識しております。そうした中で、やはり重要になるのが、県内の木材産業が木材を使うところを見せていくことだと考えておりますので、先ほどと同じ答弁になりますが、新しい森林づくり指針の中では、そうした点をしっかりと続けられるようにお示ししていきたいと考えております。以上でございます。 ◆毛利栄子 委員 県民の皆さんにも、きっとこういった御説明をしていただくことになるかと思いますが、先ほどお話しさせていただいたように、この問題は、どう利用していくかということと連動するものだと思いますので、また気を配っていただきたいと思います。  また、担い手のことについても、先ほど来話題になっておりますけれども、5年後には再造林が年間1,000ヘクタールになるということで、現状から数倍に近くなりますし、その分人手も要るようになると思われます。本会議にて、高村議員から、部長に対し、人的確保という点でお話しさせていただいたときに、担い手については、再造林の場合には期間が短いこともありますので、いわゆる兼業や季節労働者の確保をしていきたいというお話がありました。しかし、今の数倍を目指して再造林を進め、片や主伐といった様々な仕事もある中で、労働力を確保するのはかなり難しいのではないかと思うのですが、そのことについてはどのような対応をされていくのでしょうか。 ◎千代登 信州の木活用課長 今後の林業労働力の確保に関する質問でございます。本日の答弁でも申し上げていますが、この約1,500人の就業者数を、さらに増加させることは、非常に大変なことだと私どもも考えております。県としましては、少なくとも今の約1,500人という水準を保ち続けることがポイントになりますし、その皆さんがどういった働き方をするかということも重要だと考えております。齢級構成を見ますと、間伐適齢期を過ぎると棒グラフでは右に動いてまいりますので、間伐そのものの仕事量も大きく減ってまいります。その分、主伐を行えば再造林から初期保育という仕事に切り替わっていきますので、この5年間で全ての人工林の主伐をし、再造林するわけではなく、仕事量をしっかり見極めた上で、伐採主体の人材や造林・保育の人材のコンビネーションですとか、割合の最適化を図ることができましたら、ある程度は現行の規模で仕事をこなすことも可能ではないかと考えております。もちろん年齢等の理由で、毎年一定数、辞めていかれる方もいらっしゃって、その減少する人数以上を新たな雇用で補充することが必要になりますので、その人材がしっかりと確保できるように、様々な工夫や支援をしていきたいと考えております。 ◆毛利栄子 委員 一時期、建設業界のお仕事が減ってくる中で、農業のほうに広げたり、林業の仕事に参画していただいた時期もありますが、なかなか、現場に行くまでに時間がかかることもあろうかと思われます。建設業界から入って頑張ってもらっていたけれども、二、三年ほどでまた撤退していくような経過もありましたので、その理由についても分析していただきつつ、労働力という問題を考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  また、森林環境譲与税森林づくり県民税との関係ですが、そのすみ分けについては先ほど来のお話の中で、一定の理解をいたしました。続いて、お金の関係になりますけれども、令和6年以降は森林環境税が徴収されるということで、1人当たり1,000円が徴収されるようになります。もう既に徴収されていますが、これを機に、森林環境譲与税についての資料も見させていただきました。例えば、令和6年以降は、県と市町村への配分額は18億7,000万円程度になるそうです。また、森林づくり県民税で徴収できる税額は、大体6億8,000万円程度になりますので、今、森林環境譲与税森林づくり県民税に基づく仕事は12億4,000万円程度という計算になります。つまり、18億7,000万円が県と市町村に配分されるのならば、改めて6億8,000万円の森林づくり県民税を集める必要があるのでしょうか。そうではなくて、一般財源から支出するのはどうかと、本会議での質問にあったかと思います。一般財源という部分は置いておくとしても、要するに森林に関わる二重課税が徴さ れていると思わざるを得ないのです。部長さんに御意見をお聞かせいただきたいと思います。 ◎吉沢正 林務部長 二つの税の関係の必要性等の御質問でございます。委員がおっしゃったとおりになってしまうのですが、それぞれの税の活用方法を整理させていただきますと、復興特別税は、現在は東日本大震災に関連した防災のための税ということで徴収されていますが、これが5年度に終了して、6年度から森林環境税の徴収が始まります。森林環境税を原資として、市町村等でこれまで手入れができなかった森林の管理を持続的に進めることを目的として、譲与税として市町村に配分されるわけですが、見かけの数字上だと、そういった印象を持たれてしまうのかもしれません。今、お願いしている森林づくり県民税については、今後5年間集中的に取り組むべき課題への対応のための財源として、今回お示しした必要性や喫緊性の高い課題、あるいは県民の暮らしの向上に対して必要な施策に活用することを考えております。目的や役割は異なりますけれども、私どもとすれば、市町村、県それぞれがその役割に沿った取組を、効果が上がるように進めていくことが大事だと思っております。また明日から県民説明会も始まりますけれども、そういった視点で、それぞれの税の目的や使途、効果を御理解いただけるように、丁寧に説明してまいりたいと考えております。以上です。 ◆毛利栄子 委員 ありがとうございます。決定は11月議会ですので、今後とも、県民の意見をお聞きしながら、精査していきたいと思っております。ありがとうございました。 ○小山仁志 委員長 ほかに御発言もありませんので、以上で質疑を終局いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 御異議ありませんので、質疑を終局いたします。  ただいまから議案の採決に入ります。第1号「令和4年度長野県一般会計補正予算(第3号)案」中、第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中、歳出 第7款 農林水産業費 第4項 林業費、第12款 災害復旧費、第2条「第2表 繰越明許費」中の一部について、採決いたします。本案、原案のとおり可決すべきものと決するに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいまから陳情の審査を行います。当委員会に付託されております林務部関係の陳情を一括して議題といたします。過日、お手元に配付いたしました審査資料を御覧願います。林務部関係の陳情は、新規分5件であります。  なお、審査に際し、継続審査とする旨の御発言をされる場合は、なるべくその理由を一緒に述べていただくようお願いいたします。また、願意が複数ある陳情で、その一部が採択できないために、継続審査と決定した場合は、付記事項として陳情者に通知することについて、その都度、お諮りすることとしたいと思いますので、御了承願います。  新規分の陳情の審査を行います。まず、陳第705号についてであります。理事者の説明は、いかがいたしましょうか。      〔「不要」との声あり〕  本件について、質疑等ありますか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  以上で、質疑を終局いたします。  この陳情の取り扱いは、いかがいたしましょうか。      〔「採択」と呼ぶ者あり〕  ただいま、採択との御意見がありましたので、陳第705号については、採択と決するに御異議ありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  次に、陳第727号についてであります。理事者の説明は、いかがいたしましょうか。      〔「不要」との声あり〕  本件について、質疑等ありますか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  以上で、質疑を終局いたします。  この陳情の取り扱いは、いかがいたしましょうか。      〔「採択」・「継続」と呼ぶ者あり〕  ただいま、委員各位から様々な御意見がありましたので、この取扱いについて、順次挙手により決することといたします。  最初に、本件について、まず、継続審査について、挙手により採決いたします。念のため申し上げます。挙手しない方は、継続に反対とみなします。本件について、継続審査と決するに賛成の委員の挙手を求めます。      〔挙手多数〕  挙手多数であります。よって、陳第727号は継続審査とすることに決定いたしました。  次に、陳第728号についてであります。理事者の説明は、いかがいたしましょうか。      〔「不要」との声あり〕  本件について、質疑等ありますか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  以上で、質疑を終局いたします。  この陳情の取り扱いは、いかがいたしましょうか。      〔「採択」と呼ぶ者あり〕  ただいま、採択との御意見がありましたので、陳第728号については、採択すべきものと決するに御異議ありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  次に、陳第729号についてであります。理事者の説明は、いかがいたしましょうか。      〔「不要」との声あり〕  本件について、質疑等ありますか。 ◆鈴木清 委員 すみません、確認だけさせてください。熊の捕殺に関することですが、熊の生息数というのは、今、適正な数値なのでしょうか。また、その点について、どのように判断しているのですか。 ◎小澤岳弘 鳥獣対策室長 熊の生息数について御質問をいただきました。あくまでも推定値ではありますが、県内全体では、約7,000頭の熊が生息していると認識しております。過去の調査結果からみても、増加傾向にあるということは分かっていますが、地域によってはかなり差がありまして、それが適切な数かどうかについては、なかなか評価が難しいところです。個体数の管理は非常に慎重にならざるを得ないという認識をしております。 ◆鈴木清 委員 個体数の管理に関しては、誰が慎重にせざるを得ないと認識しているのでしょうか。市長村長の許可云々のお話になってしまいますが、これはなかなか難しい問題で、生あるものすべてと我々人類が共存共栄できればいいのですが、一般の通行人に対して、道路へ出てきた獣が危害を与えるといった事例もあるわけです。その中で、一度捕まえた熊にお仕置きをして一旦放獣するといった対策もあります。わな等の熊の捕殺する目的以外の、いわゆるハードな施設に熊がかかった場合、どうするのかと論議になっていますが、個体数の管理という部分と、平穏な市民生活の維持という部分について、どう整合性を持たせていくのでしょうか。また、今の鳥獣対策室長の発言についてですが、その根拠法令は何ですか。 ◎小澤岳弘 鳥獣対策室長 二つ目の質問に対しましては、鳥獣保護管理法に基づくと回答させていただきます。また、熊保護管理計画という5か年の計画を策定しているところですが、それに基づいた説明をさせていただいたところであります。委員がおっしゃるように、個体数の管理については、慎重な部分も確かに必要なのですが、一方で、市民の生活を守ることも非常に重要ですので、制度的には、何度も出没して、農作物や人に被害を及ぼすおそれがある個体については申請をしていただいて、許可をして捕獲をしていく仕組みがございますので、そういった取組をしているところです。 ◆鈴木清 委員 なかなか苦渋の説明だと思いますが、たまたま私も田舎に住んでいますので、身近な問題だと言えるわけです。なので、もし、お年寄りから熊が出ていると相談を受けて、たまたま私が猟銃の許可を持っていて、猟銃を持ってはせ参じて、目の前の熊を射殺した場合、法令違反で問われるのかを申し上げたかったのです。この要望というのは、特に中山間地の市町村長からすれば、非常に切実な願いだと思いましたので、お尋ねさせていただきました。 ○小山仁志 委員長 以上で、質疑を終局いたします。  この陳情の取り扱いは、いかがいたしましょうか。      〔「継続」と呼ぶ者あり〕  ただいま、継続審査との御意見がありましたので、陳第729号については、継続審査と決するに御異議ありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  次に、陳第739号についてであります。理事者の説明は、いかがいたしましょうか。      〔「不要」との声あり〕  本件について、質疑等ありますか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  以上で、質疑を終局いたします。  この陳情の取り扱いは、いかがいたしましょうか。
         〔「継続」と呼ぶ者あり〕  ただいま、継続審査との御意見がありましたので、陳第739号については、継続審査とするに御異議ありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  ただいま、願意が複数ある陳情を継続審査とすることに決定いたしましたが陳情者へ通知する付記事項につきましては、いかがいたしましょうか。      〔「一任」と呼ぶ者あり〕  一任とのことですので、委員長案として、陳情中、1及び3については、引き続き慎重に検討する必要があるため、現状では採択することができないといたしたいと思いますが、 これに御異議ありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  さよう決定いたしました。  以上で陳情の審査を終局いたします。  以上で林務部関係の審査を終局いたします。  次に、本委員会関係の閉会中継続調査事件は、お手元に配付いたしました資料のとおりとし、なお慎重に調査を要するための理由を付して議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  次に委員長報告について、何か御発言がありますか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕 それでは正副委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  御異議ありませんので、さよう決定いたしました。  この際、何か御発言がありますか。      〔「なし」と呼ぶ者あり〕  閉会を宣した。 ●閉会時刻 午後3時47分 △採決結果一覧(林務部関係)  (付託議案)  ▲ 原案のとおり可決すべきものと決定したもの(簡易採決)     第1号 令和4年度長野県一般会計補正予算(第3号)案中      第1条「第1表 歳入歳出予算補正」中       歳出 第7款 農林水産業費           第4項 林業費          第12款 災害復旧費      第2条「第2表 繰越明許費」中の一部  (陳情)  ▲ 採択すべきものと決定したもの(簡易採決)     陳第705号、陳第728号  ▲ 継続審査としたもの(挙手採決)     陳第727号  ▲ 継続審査としたもの(簡易採決)     陳第729号、陳第739号...